第7話 お化け屋敷は侮れない
法蓮百物語

第7話 お化け屋敷は侮れない

法蓮にいる霊能者の知り合いの霊能者が、実際に体験した話です。その霊能者の先生がまだ学生だった頃、友人数名と遊園地に行き、誘われるままにお化け屋敷に入ることになったそうです。そこで体験したこととは・・・。

お化け屋敷は侮れない

当時はまだ霊能者としての仕事をしていなかったものの、生まれながらに霊能力が高かった先生は、嫌な感じがするから入りたくないなと思いながらも、みんなについて中へと足を進めました。男性が3人、女性が2人で、2組のペアと余った1人が最後についていく形で、先生はじゃんけんの結果最後の1人に。お化け屋敷はごく普通の遊園地にあるにしては凝った造りをしていて、明かりはなんとか身の回りが判別できる程度の最小限に抑えられ、置いてある小物も恐怖をそそるようなものばかりでした。

「なんか、ここ嫌な感じがしない?」

入って間もなく先頭カップルの女性の方が声を出しました。すると隣の男性が「何?もう怖いわけ?」とちょっとからかったように言います。「違うって!ほら、あの井戸とかすごく不気味だからさ…」と女性が言うと、男性は「あーよく出来てるけどさ、所詮作りもんじゃん」と答えました。後ろのカップルがそうだよね~と賛同しています。その会話を聞きながら先生は、女性の方は結構勘が鋭いんだな、と思っていました。確かに井戸は作られた小道具でしかないのですが、実は、その周りには低級の浮遊霊が数体浮かんでいました。害はなさそうだけど…と先の暗闇を見つめながら、先生はこの道が霊道になっていることに気が付きました。

霊道とは文字通り霊の通る道で、浮遊霊や動物霊など、霊が好んで通る道でもあります。その道が、人が好奇心で恐怖を求める場である、お化け屋敷の中にあるのは決していいことではないと、先生は懸念しました。怖い話を読んだり聞いたりするだけでも霊がやって来る、というのと同じように、お化け屋敷にもその力があります。とはいえ、霊の力は弱そうだしまあ大丈夫かなと、先生一行は先へと進んでいきました。

雲行きがおかしくなり始めたのは中盤あたり、落ち武者の格好をしたスタッフがこちらを脅かしてきたあとのことでした。全員が驚き、直後にほっとした反動で口数が多くなります。「ホントびっくりした!早く出たい!」「もう無理~!怖すぎて無理っ」と女性陣の口からは弱音が洩れ、男性陣の口からは「大したことないって」「全部作りもん、作りもん!怖がる必要なし!」と強がった言葉が出ていました。先生はそれを聞きながら、自分たちの後ろにいる、ある霊の存在を感じていました。それは序盤にいた浮遊霊だったのですが、こちらの存在に気づいてからずっと後についてきていたのです。その霊との距離が明らかに縮まっていました。

「キャアアア!」

先頭の女性が悲鳴を上げます。そばの扉からゾンビが出てくる仕掛けに驚いたのですが、あとの3人は声も上げられないほど驚いていました。先生はむしろその叫び声の方に驚き、一瞬体がビクッとなっている隙に、何かが自分のそばを通るのを感じました。あっ、と思った時にはすでに遅く、後ろにいた浮遊霊が自分たちのグループの中に入り込んでいます。そして、ある人物に取り憑いていました。

まさか浮遊霊が取り憑いて来るとは思わず油断していた先生はすごく驚きましたが、狭いお化け屋敷の中ではどうすることもできず、とりあえずみんなで外に出るのを待ちました。そうして暗闇を抜け、外の明るい世界に戻り、「怖かったね~」「子供だましだったって」「最後みんなビビってたじゃん」などみんなが銘々に感想を言っている中で、先生は先頭を言っていた友人に声をかけました。

「A、肩に何かついてる」

そう言ってAさんの肩を払い浮遊霊を払おうとしました。大抵の低級霊、軽い霊ならこれで離れていくのですが、残念ながらその霊は違いました。「ありがとな」と言ってAさんは笑っていましたが、その後、時間が経つにつれてやつれた様子になっていきました。遊園地から帰るころにはみんなに心配され、本人も「なんか体調悪いかも」、と言うほどに状態は悪化していました。

心配になった先生はAさんを家まで送っていくことにしました。取り留めない学校の話などをしながら歩いていると、Aさんの家のそばまできていました。このまま家に帰すわけにはいかないと、先生は「あ、あそこに猫がいる」とすぐ目の前にあった小さな公園の隅を指さしました。猫好きなAさんは「え、どこだ?」と言いながらそちらに意識を向けます。そこで、先生は後ろから「わっ!」と大きな声を出して両手で強くAさんの背を押しました。

「!!」

驚いたAさんがビクッと体を跳ねさせた瞬間、先生は心の中で『この体から出て行け!』と強く念じました。すると、黒いものがAさんの頭のあたりから出てくるのが見えました。取り憑いていた浮遊霊です。

『早くここから立ち去れ!お前の居る場所ではない!』

先生が再び強く念じると、浮遊霊はうめき声のような音を出して消えていきました。ほっとした先生に、Aさんが「おどかすなよ!」と言って怒りましたが、すぐに「あれ?なんか体が楽になってる…」と変化に気づきました。「あのさ、確かに作りもんではあるんだけど…あんまりお化け屋敷をあなどるなよ」先生はそう言って、もう大丈夫だと感じ、Aさんと別れました。

この時は先生の簡単な除霊でことが解決したからよかったのですが、遊びでお化け屋敷に行き、そこで本物の霊に取り憑かれてしまうケースは、実はそれなりにあるのです。人々が心霊体験、恐怖を求めて集まる場には霊も集まってきます。今回は驚いた瞬間に生じた心の隙間に霊が入り込んでしまったようですが、霊を軽んじる行為は霊を怒らせ、取り憑かれてしまうこともあるので、みなさんもお化け屋敷に行く際はくれぐれもご注意ください。

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